「健康のために、毎日頑張って1万歩歩いています」

「週末はジムに通って、意識的にハードなトレーニングをしています」

このように、日々の生活のなかに運動を積極的に取り入れようとする姿勢は、一見すると素晴らしい健康投資に思えます。しかし、私たちは運動疫学や生体力学(バイオメカニクス)の視点から、ここで非常に重要な、そして少し恐ろしい「警告」を鳴らさなければなりません。

それは、「重力に対して骨格の整列(アライメント)が歪んだまま運動の『量』を増やすことは、動くたびに特定の関節や筋肉へ凄まじい『摩擦(Friction)』をかけ、身体を自ら破壊していく行為になり得る」という不都合な真実です。

建物の土台や柱が斜めに歪んでいるにもかかわらず、その上にさらに重いフロアをつぎ足したり、激しい振動を与えたりすれば、建物はどうなるでしょうか。当然、歪みが大きい接合部に負荷が集中し、やがて倒壊のリスクを迎えます。

人間の身体も全く同じです。

運動の「量」を競う前に、まず取り組むべきは、自分の身体の土台が重力に対して真っ直ぐ整っているか、すなわち「骨格アライメントの調律」なのです。

「猫背」と一言で言っても、実はその原因や歪みの構造は人によって全く異なります。

RAGNAPPがこれまでの測定データや解剖学的知見から分類した、現代人に代表される「4つの猫背タイプ」をご紹介します。自分がどの構造に当てはまるか、ぜひチェックしてみてください。

どれか一つのタイプだけに留まらず、①と③が合併しているなど、複数の歪みがドミノ倒しのように連鎖しているケースも少なくありません。

自分が今、重力に対してどれくらい正しいアライメントを保てているか、器具を使わずに自宅で1分でできる簡単なセルフチェック方法をお伝えします。

  1. 壁に背を向けて、自然な姿勢で立ちます。
  2. 「かかと」「ふくらはぎ」「お尻」「肩甲骨」「後頭部」の5点を壁にピタッとつけます。

このとき、以下のような違和感や摩擦が生じる場合、あなたの骨格アライメントはすでに歪んでいます。

骨格アライメントの歪み
  • 後頭部が壁につかない、またはつけると目線が上を向いて顎が上がってしまう
    → 「首猫背(ストレートネック)」のサインです。
  • 壁に無理につけようとすると、肩や背中に強い張りや力みを感じる
    → 「背中猫背(ラウンドバック)」のサインです。
  • 腰の後ろの隙間に、手がすっぽりと入ってまだ余裕がある(拳が入る)
    → 「隠れ猫背(反り腰)」のサインです。

正しいアライメントとは、無理に力を入れずとも、この5点が自然に壁に接地し、かつ腰の後ろに「手のひら1枚分」の適度な隙間がある状態を指します。

もしあなたがセルフチェックで歪みを見つけたとき、「よし、背筋を鍛えて姿勢を良くしよう」と、ジムで重いバーベルを持ち上げるようなアプローチをとると、かえって歪みを固定化させる原因になります。

なぜなら、骨格が歪んだ状態で筋肉を強く硬く鍛えてしまうと、その歪んだ構造のまま身体が「ロック」されてしまうからです。まずは筋肉を過剰に緊張させるのをやめ、日常の動作(ADL)を見直し、重力に対して骨格を正しい位置へ戻してあげる「調律(Alignment)」が必要です。

量を競うのは、もう終わりにしましょう。

まずは、あなたの土台を、真っ直ぐに調律することから。